症例A/多島斗志之

ミステリー…なのかな?途中で中だるみしてしまったけど、まぁ面白かった。男性作家の描く小説は、あまり感情移入できないんだけど、この小説も然り。主人公の榊が、どうしたいのかいまいちわからないような。由起もあんまり好きじゃなくて…。って、どうも私は好き嫌いで小説を読んでしまうのだけれども、登場人物はともかく、内容はまあまあ、かな。でも、亜左美の話がメインなのかと思ったのに、あまり触れられなかったような気がする。ついで、な感じ。話を円滑に進めるための小道具のような。真由美やミクが登場する件、約百頁も必要なのかしら。ここが少し中だるみ、というか、陳腐な印象を受けた。多重人格をフィクションに使うのは難しいんだろうなぁと思う。真実に近づけて描くのは特に。胡散臭く多重人格を持ち上げたフィクションが溢れているからなぁ。ほんとうの多重人格者がどんなものなのか、私は見たことがないけれど。この本読んで、ビリー・ミリガン、シビルをまた読みたいなぁと思った。随分前に読んだから、大分忘れちゃってるし。当時の読書記録もどこかへ行ってしまったから、やっぱりもう一度読まないとなぁ。