台風がきていたからかもしれない。

夢の中でわたしは、傘をさしている。
普段使っている、柄の長い、みどり色の傘。
わたしは傘をさして、彼と一緒にスーパーへ買い物に行く。
スーパーをぐるりと一周して、
いろいろなものをかごに入れていく。
しかし、そのスーパーには売っていないものがあって、
それを買いにわたしはさらに別のスーパーに行くことにする。
わたしたちは買い物をしたら行かなければならないところがあって、
彼はそこへ先に行くと言った。
わたしは、買い物が済んだら追いかける、と言った。
わたしは雨の中ひとりでスーパーに行く。
はじめはわりと大きな通りを歩いていたが、途中から舗装されていない、泥の水たまりだらけの道になる。
しばらく歩いていくと白い建物が見えてきた。
スーパーだ。
わたしはスーパーの中へ入り、かごを持って目的のものを探す。
鮮魚のコーナーでふと足を止めると、一匹の猫と目が合った。
猫はトン、と地面を蹴って軽やかにジャンプすると、
マグロの赤身を二切れ食べた。
そして走って逃げていった。
わたしは呆然とそれを見ていた。
店員に言ったほうがいいのだろうか、
でももう猫は行ってしまった、
そんなことが頭の中を渦巻いていた。
しかし周囲に店員はいなかったので、わたしはレジに向かった。
さっき猫がいたことをレジのおばさんに告げると、おばさんは隣のレジのおばさんと何かを言い合い、わたしはなにもしていないのに「ごめんなさいね」と謝られた。
わたしは居心地が悪くなって店を出た。
外はまだ雨が降っている。
もと来た道を戻ろうと思ったがどっちから来たのかよくわからない。
勘を働かせながら、泥だらけの道を歩く。
近くに中学校があるらしく、下校途中の中学生とたくさんすれ違う。
もとの道を戻っているはずなのに、ちっとも大通りに出ない。
わたしは来た道をスーパーへ引き返そうとするがよくわからない。
ぐるぐるぐるぐる歩いているうちに、さっきすれ違った中学生とまたすれ違った。
わたしはどこにいるのかまったくわからなくなってしまった。
彼が迎えに来てくれたらいいのにと思いながら歩き続けた。
雨が強くて視界が狭い。
前方を見ようとして傘を少し上げたら、風に煽られて傘は飛ばされてしまった。
傘を追いかけるが傘の骨は反対向きになってしまっている。
傘が壊れてずぶ濡れになったわたしの視界に、白い建物が写った。
さっきのスーパーだ!

そこで目が覚めた。