蹴りたい背中/綿矢りさ

読むのはずいぶん先になると思っていたんだけど、私もそうだけど、私の親は思いの外ミーハーで。家に文藝春秋があったので読んでみた。とりあえず『蹴りたい背中』だけ。『蛇にピアス』はこれから、気が向けば。
で、『蹴りたい背中』。
これ、読む前に評判はいろいろ見聞きしていて、その中でも研究室の飲み会のときに物理学の教授先生が「これは結局、彼女は彼の背中を蹴りたい!蹴ってやりたい!ってことなんだよ。その心理はね…(中略、というか忘れた)…ということで、私は共感は出来ないが、若者の心理が巧く書かれていて、好感が持てる」と熱く語っていたのが印象的だった。
でも、読んでみて、先生のその批評を聞いた際に想像した話と大分違っていて、不思議な感じだった。いろんなところで聞いていた、「少女漫画」っていう意見には納得。あると思うんだよね、こういうの。あるっていうか、出尽くしちゃってる感じもする。そんなこと言ったらどんな物語ももうすでに出尽くしちゃってるのかなとも思うけれど。新鮮味はなかった。嫌いじゃないけれど。嫌いじゃないからといって、好きというわけでもなく。漫画っぽいなら、漫画でいいよ、と思ってしまう。岡崎京子とか。