蛇にピアス/金原ひとみ

存外に早く気が向いた。というか一度閉じたら二度と開けなさそうな話だったので読み切った。
好きじゃなかった。
私はこのテの話を読むのは向かないなぁ、と。気持ち悪くて。嫌悪。
この人の書いたものを読む機会はもうないかもしれないなぁ、と思ったり。何かダメだ。なじめない。想像できないからかもしれない。共感もまったくない。不思議だ。これを村上龍が書くなら、この主人公を山田詠美が書くなら、読みたいと思うかもしれないんだけど。
蹴りたい背中を読んでいるときもそうだけど、読んでいる最中にいろんなことを思い出す。
蹴りたい背中の時は中高生時代の情景やエピソードを、具体的に。でも蛇にピアスは、ただただ感情だけを、フラッシュバックって言うんじゃないけど、思い出した。思い出したくないモヤモヤした気持ち。案外私はこの物語にはまってしまったのかなとも思う。嫌だけど。
一つだけ気に入ったところがあって、『釣った魚にエサをやらなかったら魚は死ぬか逃げるかの二択しかない』ってところ。なんでもないことだけど、ああそうだなぁ、と思った。
魚は死ぬだけだと思ってた。
蹴りたい背中を読んだ時は思わなかったけど、これの受賞は『今後に期待』っていうのがすごく大きいんだなぁ、と思った。かなりの部分を占めているんだと思う。