今夜は眠れない/宮部みゆき

母さんと父さんは今年で結婚15年目、僕は中学1年でサッカー部員。そんなごく普通の平和な我が家に、ある日突然暗雲がたちこめた。”放浪の相場師”とよばれた人物が母さんに5億円もの財産を遺贈したのだ。お隣さんや同級生は態度がかわり、見ず知らずのおかしな人たちからは脅迫電話があり、おまけに母さんの過去を疑う父さんは家出をし・・・・・・。相場師はなぜ母さんに大金を遺したのか?
こわれかけた家族の絆を取り戻すため、僕は親友で将棋部のエースの島崎と真相究明の調査にのりだした!
(作品紹介から抜粋)

宮部みゆきは堅い!っていうイメージがあったので、この作品はあんまり宮部みゆきっぽい感じがしませんでした。主人公の雅男は中学1年の男の子にしては大人びているかな〜という感じ。中1ってもっとコドモだと思う。島崎が大人びているので、島崎と一緒のときにはそんなに目立たないけれど、ちょっと大人びている印象。女の子だったらこうは思わないのかもしれないけれど、そもそも主人公が女の子だったらミステリーとして成り立たないんだろうな。悲劇のお話で終わってしまいそう。いや、全然悲劇的な話じゃないんですけど、これってただただ受身でいたらどうしようもなく悲劇だな、と。
突然5億円を遺贈される。
周囲が騒ぎ立てる。
5億円を遺してくれた人はどんな人かわからない。
父親は家を出て行く。
誘拐される。
・・・本当にいろいろ詰め込まれていて、展開は飽きないです。そして最後に全部種明かしというか、疑問で止まっていたところは説明がついて、爽快な感じもしました。母は強いな。父親は情けないです。後半どんなにがんばろうと、父親の情けなさはぬぐえない。世相ですか。
わたしは携帯電話の生活に慣れている世代なので、連絡がつかなかったり、誰か一人、電話番号のわかっている人に連絡を任せきりだったり、自動車電話だったりになじみがなくて、ちょっとそこらへんが入りにくかったかもしれない。携帯電話が登場する前に書かれた話だとはわかっていても、携帯があったらどうなんだろ?と。まぁ、雅男は中1なので携帯なんか持たせてもらえてないだろうけど。